働かないアリに意義がある [科学の本]
作者: 長谷川 英祐
メディアファクトリー新書
本屋さんで、帯の文句「7割は休んでいて、1割は一生働かない」に惹かれて買いました。この本は巷にあふれる胡散臭いビジネス書ではなく、生物学の本です。想像していた内容と少し違いましたが、買ってみて大正解、とっても楽しめました。
著者は「真社会性生物」(繁殖を専門にする個体と労働を専門にする個体からなるコロニーと呼ばれる集団をつくる生物、例:ハチ・アリ・シロアリ等)を専門的に研究してこられた生物学者です。生物学について真面目に論じられていて、アリの社会の話を人間社会の話に無理にこじつけて論じようとする内容ではありません。
でも読む方としては、人間社会と重ね合わせて考えてしまうことは、仕方のないことだと思います。
例えば
・みんなが疲れると社会は続かない
・利己者の圧勝を防ぐためには集団内に構造が必要になる
等々
本書の主題ではありませんが、著者は直ちに利益に結びつかない研究が冷遇されていることについて危機感を持たれているようです。
以下は本書からの引用です。・・・
何が「役に立つのか」は事態が生じてみるまでわからないことなのです。したがって、いまはなんの役に立つかわからない様々なことを調べておくことは、人間社会全体のリスクヘッジから見て意味のあることです。
・・・引用ここまで
そのとおりだと思います。
2011-06-04 15:46
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